今回のやり方はプロ向き?
「山根式棒セルフマッサージ」は当院オリジナルのセルフケア法です。
「山根式棒セルフマッサージ」は、前回の記事(入門的に試してみるには丁度いいやり方 )でも書いた通り、身体の入り組んだ部位に強い刺激を与えることを目的に編み出されました。
そのやり方は複雑であり、微妙な角度や力加減の調整が必要になります。
間違ったやり方をしてしまうと、かえって身体に悪い影響が出る危険性があります。
今回は、「山根式棒セルフマッサージ」の中でも、特に危険性の高いやり方をご紹介いたします。
あくまでも紹介することを目的としていて、内容を読まれただけで、実践されることを想定しておりません。
ですので、「それでも実践してみたい!」という方は自己責任でお願いいたします。
そうは言っても、「山根式棒セルフマッサージ」は、基本的に自分の体重のかけ具合で刺激の強弱を調整するので、身体に過度な負担が掛からないように調整することは可能です。
そのため、身体感覚の優れた方や、解剖学をしっかりと学ばれた方であれば、そこまで高いリスクをともなわずに実践できます。
そういう意味では、今回のやり方はプロ向きと言えるかもしれません。
これは参考としてですが、前回、ご紹介したリディア・ザモラノさんのサイトページ(My New Travel Companion)から、丸棒を使ったセルフマッサージの注意点を引用しておきます。
この方のやり方はずっとマイルドですので、あくまでも参考として捉えてください。
・ツボを見つけ、90秒かそれ以上固定します。3分までやってみましょう。
・力をかけすぎないように。筋組織が固まり、体が防御反応を示します。
・やわらかくなり、ほぐれ、(ジェルから液体のように)流動性が増すのを感じるようになるまで待ちましょう。
・顎、横隔膜や臀部の筋肉が硬直するほどやらないでください。力をかける目安は手を粘土に沈ませるような感覚です。必要なら丸棒を毛布で包んでください。
さて、前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するやり方をご説明いたします。
今回ご紹介するのは、後頭下筋群へのセルフマッサージ法です。
類似したやり方を紹介しているサイトでは、枕の上に丸棒を置いて、その上に「うなじ」を乗せる方法が掲載されています(ザモラノさんのやり方もそうです)。
しかし、そのやり方では、後頭骨や頸椎の構造上、深い筋肉にまで刺激を加えることが難しいのです。
丸棒に角度をつけることで、それが可能となります。
後頭骨の下に丸棒が入り込むように角度をつける。
その時に重要なのが、反対側の前腕の使い方です。
今回の例では、右の前腕の使い方が重要になります。
右手で丸棒を握っている箇所を支点にして、丸棒と前腕で首を挟み込むようにします。
そうすることで、より的確に丸棒の上に後頭下筋群を乗せることができるようになります。
このやり方に危険があるというのは、上位頸椎(特に環椎)への悪影響が考えられるためです。
しかし、ガチガチに固まった後頭下筋群を長期間にわたって放置しておくことの方が、上位頸椎により大きな悪影響を与えると考えます。
それに、丸棒にゆっくりと体重をかける方法で行えば、環椎がずれるほどの外力が加わるとは考えにくいです。
ただ、全く知識のない方が適切な指導を受けずに、いきなりこのやり方に取り組むのは、やはり危険です。
たとえば、反動を使って全力で丸棒に乗っていくようなことをすれば、確実に悪影響が出ます。
どの程度の力であれば安全と言えるのか、その判断が適切に下せることが、このやり方の要件になります。
いかがでしたでしょうか。
今回は、後頭下筋群への丸棒を使ったセルフマッサージ法をご紹介しました。
専門用語を何の注釈もなく載せているので、今回はやはりプロ向けの記事だと言えると思います。
プロじゃない方には「そんなやり方もあるのか」ぐらいに受け取っていただければ幸いです。