改訂版 四象調息法の基本(骨盤編)
今回の記事は、以前に掲載した『四象調息法の基本(骨盤編)』という記事の改訂版です。
あちこちで何度か書きましたが、呼吸時に重要なのは胸郭の動きと骨盤の動きです。
その二つがうまくいっていれば、腹圧も自然に高まりますし、首の動きや肩甲骨の動きも自然と理にかなったものになっていきます。
では、呼吸をするときの骨盤まわりの動きについて説明していきます。
緑に色をつけた部分が骨盤です。
黒い枠で囲った部分が腰椎と言って、背骨の下の方の5つをそう呼びます。
5番目の腰椎と骨盤のあいだの関節を仙腰関節(仙腸関節ではありません)と言います。
ほとんどの腰痛は、この仙腰関節の動きが悪くなることで起こります。
動きの悪くなった仙腰関節を呼吸に合わせて動かすことで、腰痛の予防・改善が期待できます。
上の図の骨格標本は、仙腰関節がほとんど動かないような作りになっています。
そこで、仙腰関節の動きを再現したモデルを、間仕切りボードとボビン、ソープディッシュで自作しました。
(※ 改訂箇所について : 以前の記事では、腰椎のモデルにS字フックを使っていたのですが、今回は腰椎自体の動きを説明するために、可動性のある間仕切りボードを使っています。)
間仕切りボードが腰椎を表していて、ボビンとソープディッシュを組み合わせたものが骨盤を表しています。
まずは、吸気時の動きです。
腰椎を後ろに丸めるようにしつつ、骨盤のみを前傾していきます。
仰向けに寝転んだ状態で、腰椎が床からなるべく離れないように注意しながら行うと、やりやすいです。
仙腰関節が固くなっていると、どうしても背骨は前に反ろうとしてしまいます。
良くない例 : 骨盤が前傾するのにつられて、腰椎が前に反っている。
そこを我慢して、逆に後ろに丸める感覚を持ちます。
実際には、このモデルほど大きく動かすことは不可能です。
もっと微妙な動きになります。
骨盤の動きに対して、腰椎が少しでも抵抗することで、仙腰関節まわりの細かい筋肉が引っ張られているような感覚が出てきます。
その感覚が出てくると、今まで動いていなかったそれらの筋肉が活性化してきます。
続いて息を吐く時の動きです。
今度は骨盤を後傾していきます。
後傾するときは、腰椎を前に反らしていきます。
仙腰関節が固くなっていると、骨盤の動きに引っ張られて、腰椎は後ろに丸まろうとしてしまいます。
良くない例 : 骨盤が後傾するのにつられて、腰椎も後ろに丸まっている。
それに抵抗して、前に反らせるということです。
仰向けに寝た状態で、腰椎を床から離す意識を持ちながら骨盤を後傾していくと、感覚がつかみやすいです。
この場合も、実際にはこのモデルほどの大きな動きは難しいです。
前傾する場合と同じように、細かい筋肉がひっぱられているような微妙な感覚が出てくると、仙腰関節まわりの筋肉が活性化されます。
以上が、四象調息法における骨盤の動きの基本です。
実際の施術現場では、患者様の状態を見て、息を吸うのかもしくは息を吐くのか、どちらかの方法を指導することが多いです。
※ 今回は基本的な考え方を説明することが目的です。直接にはご指導できないことなので、実践されたことで生じた心身の不具合等について当方は一切責任を取りかねますので、あしからずご了承ください。