樹上の記憶
こんにちは! くくのち指圧治療院です。
私たちの遠い祖先は、樹上で生活していたそうです。
彼らは、手のようにつかめる足で木の枝をしっかりとつかみ、長いしっぽでバランスを取ることで、高い木の枝から落ちずに生活していました。
骨盤周辺の筋肉や関節の構造も、樹上生活に適したものでした。
われわれ現生人類はご先祖様に比べると、ずっと木登りが苦手です。
足の指は木の枝をつかめません。
しっぽも退化してしまいました。
骨盤周辺の筋肉や関節の構造も、二足歩行に適したものへと変化していて樹上生活には適していません。
しかし、そんなわれわれ人類の身体にも樹上生活の記憶は残っています。
幼いころに木登りをして遊んだり、ジャングルジムで遊んだりしていた時、私たちは身体の奥にひそんでいた古い記憶とたわむれていたのです。
ところで、細い木の枝の上で、われわれ人類はどのようにバランスを取っているのでしょうか?
つかめる足、長いしっぽ、曲げやすい股関節。
すでにそれらは失われています。
木登りに使えそうなのは、つかめる手、それに可動域の大きな股関節と膝関節。
しかし、それだけではバランスを取るには不十分です。
下の図は、鉄棒の上で「腕立て支持」している図と、鉄棒の上に座っている図です。
図1 腕立て支持
図2 鉄棒に座る
これらの図の鉄棒を細い枝だと想定すれば、われわれ人類がいかにして細い枝の上でバランスを取っているのかが見えてきます。
ここで注目するのは、体幹部の動きです。
ますは、図1の「腕立て支持」の時には、みぞおちが前に出て、骨盤は後傾しています。
これは、以前の記事で紹介した 腰痛予防・改善のための呼吸法 の息を吐くときの動きと同じです。
次に、図2の「鉄棒に座る」の時には、みぞおちの高さの背骨は後ろに引かれて、骨盤は前傾しています。
これは、腰痛予防・改善のための呼吸法 の息を吸うときの動きと同じです。
木に登った時に、細い枝の上で、われわれ人類はどのようにバランスを取っているのか。
その問いの答えは、「体幹の動きでバランスを取っている」にひとまずなります。
人類にとって、樹上生活に適した身体的特徴の多くは失われてしまいましたが、それでもかろうじて残された特徴がいくつかあり、そのひとつが体幹の動きだというわけです。
ここでは、木の枝の上でのバランスの取り方について述べましたが、地上に降り立った後も、人類は同様のやり方でバランスを保ち続けています。
二足歩行という不安定な体勢で生きつづけていくために。