たまには症例報告を・・・その2
Bさんは、20代の男性の方なのですが、介護職でハードに身体を酷使されていて、全身の筋肉が緊張して、ガチガチに固くなっていました。
マッサージはよく受けられるとのことで、ひどい時には月に2、3回受けられることもあったそうです。
ちなみに、初回に来られたときに、「これまで一番身体がしんどかった時を100パーセントとすると、今日は何パーセントぐらいのしんどさですか?」とおたずねしたところ、70パーセントぐらいというお答えでした。
初回のご来院は11月のことでしたから、開院して3か月ちょっとが過ぎた頃でした。
間違いなく、その3か月のあいだに来られた患者様のなかで一番の筋肉の固さでした。
私は、以前訪問マッサージ専門の治療院に勤めていて、パーキンソン病の方や脊髄損傷の方で痙性麻痺の強い方を担当していたことが多かったのですが、そういった方々に比べると、まだ柔らかい方でしたが、それでも、なかなかの固さでした。
初回時は、夜勤明けで来られたということもあって、かなりお疲れが溜まっている状況でした。
まずは、指圧で固くなった筋肉をほぐしていきました。
そのなかで気づいたのは、この方が山根式四象調息法で言うところの太陰タイプであるということと、骨盤が前傾状態になり、そのまま仙腰関節が強くロックされていることでした。
施術後、かなり疲れていらっしゃるのは明らかでしたので、注意点をひとつだけに絞って、呼吸法指導を行いました。
仰向けに横臥した状態で、吐く息に合わせて骨盤を後傾させる。その時、尾てい骨を頭から少しだけ遠ざける。それがその内容です。
具体的にはかなり微妙な動き、感覚が必要になるので、言葉にするとシンプルなんですが、実践するにはコツが必要となります。
Bさんは、そのあたりの感覚にすぐれているようで、すぐにコツを掴めました。
寝る前などのタイミングで、毎日実践していただくようにお伝えしました。
それから2週間ほど過ぎて、Bさんのご紹介で職場の同僚の方が来院されました。
その方から、Bさんがとても喜んでいらっしゃった旨をうかがいました。
こういうフィードバックを得られることは、いつものことではないので、とても有難いことでした。
それからさらに月日は過ぎて、初来院から2か月ほど経った頃に、Bさんが2回目の施術を受けに来られました。
今回も夜勤明けとのことで、ヘロヘロに疲れていらっしゃいました。
お身体の状態を拝見したところ、まだ筋肉は全体的に固くはありましたし、首や肩の筋肉はまだまだ固さが目立ちましたが、前回よりはずっと柔らかい状態でした。
この2か月のあいだ、ほかのところにもマッサージは受けに行っていないとのことで、お風呂に入ったあとに、骨盤を後傾させる呼吸訓練を実践し続けていただいたとのことでした。
呼吸訓練の効果が非常によく出ていると思われるので、今後も続けていただくようにお願いして、さらに首や肩まわりに効く呼吸法指導を行いました。
今回もかなりお疲れのご様子だったので、できる限り簡略化した説明を行いました。
もう少しBさんに余裕が出てくれば、介護時の疲れにくい身体の使い方などもご指導できれば、さらにお身体への負担が減っていくものと思われます。
そうなれば、ご自身のケアではどうにもならないほどに疲れが出てしまった時などは緊急事態ということで別としても、定期的にマッサージを受ける回数を減らしていくことができると思います。