山根式四象調息法の現在
開院して五か月が経ちまして、いろいろな方に四象調息法をお伝えしてきました。
その中で、少しずつ四象調息法の在り方にも変化が出てきました。
4つの呼吸タイプを判別して、その人に合った呼吸法を提示するという基本的なコンセプトは変わりないのですが、この「その人に合った」という部分の捉え方が特に変わってきました。
以前は、4つの呼吸タイプに分ける事こそが、とにかく大事だと捉えていまして、そこに補足的に違うタイプの注意点も付け加えていくという考え方でした。
しかし、様々な方に呼吸法をご指導させていただくうちに、その方の本来の呼吸タイプの注意点だけでなく、それ以外の呼吸タイプのやり方もそれなりにお伝えしていった方が、結果的に本来の呼吸タイプもやりやすくなるという事態がしばしば起こってきました。
以前は、【主】その方の本来の呼吸法の注意点、【従】それ以外の呼吸法の注意点・・・というバランスでの指導だったのが、今はその方に合わせて、4つの呼吸タイプのやり方の注意点を適当に組み合わせて指導するというかたちになってきています。
そのような方法にした方が、胸郭の可動性を高めるのに効果があり、結果として本来の呼吸タイプのやり方をしやすくなるということが起こっています。
また、4つの呼吸法を2つに統合して、さらには1つの呼吸法に統合するということが起こっています。
そして、最終的には最小限の呼吸へと収束していきます。
これは、以前の記事で書きました『陰陽平和の呼吸』が、具体的な形になってきたということです。
4つの呼吸タイプが入口としてはありますが、収まっていくのは1つの呼吸法というイメージです。
4つの呼吸タイプの注意点を意識し、胸郭の可動性を高めて、肺に取り込める空気量を増やしたうえで、実際には限界の8割か7割くらいの範囲で呼吸をします。
そうすることで、無理のない自然な呼吸を行いながら、十分な量の酸素を取り込むことが可能となり、全身的なリラックスをすることができます。
首・肩や胸や背中などの体幹部の筋肉が固くなってしまうことで、胸郭の可動性が狭まり、肺に取り込める空気量が落ちてしまうと、普通の呼吸では、日常生活を送るのに必要な酸素量を体内に取り込めなくなってしまいます。
その状態で、必要な酸素量を取り込むためには、横隔膜や腰椎の動きを大きく使って、呼吸をするしかありません。
しかし、そのやり方では、身体の一部にのみ負担がかかることになり、すぐに疲れがたまってしまいますし、腰痛の原因にもなってしまいます。
横隔膜や腰椎の動きを出すための腰部の筋肉に疲労がたまってしまうと、それらを動かすのも困難となってきて、必要な酸素量を取り込むことが難しくなってきます。
そこまで来てしまうと、あえぐような呼吸しかできなくなり、どれだけ横になって休んでも、疲労が回復しないという状態になってしまいます。
そういう状態にならないためにも、胸郭の可動性・柔軟性を高めることは重要です。
山根式四象調息法の指導では、固くなっている胸郭の部分を動かせるようにいたします。
患者様ご自身が日頃からお一人で取り組むことができます。
また、胸郭の可動性・柔軟性を高く保つことで、肩こりや腰痛の予防にもなります。
胸郭の可動性・柔軟性を制限している筋肉こそが、肩こりや腰痛を引き起こしている主因であることがほとんどのケースに当てはまるからです。
4つの呼吸タイプの注意点の組み合わせによって、その人本来の呼吸法をしやすくし、また、胸郭の可動性を高めることができたなら、今度はそのバランスを崩さずに、リラックスするための呼吸法をご指導いたします。
その呼吸法が、先に書いたところの「4つの呼吸タイプが収束していく1つの呼吸法」であり、『陰陽平和の呼吸』です。
4つの呼吸法で胸郭を目いっぱい広げて、その限界の7割~8割の範囲で『陰陽平和の呼吸』を行うことで心身をリラックスさせる。
それが、山根式四象調息法の現在のところのまとめとなります。