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たまには症例紹介を・・・

 たまには指圧治療院のブログらしく症例紹介をしたいと思います。

 当院は高槻市の栄町商店街にあるのですが、栄町商店街は駅前にあるわけではなく、最寄りの駅(阪急富田駅)から徒歩で25分くらいかかるところにあります。

 バス停はありますが、それでも当院までは徒歩5分から10分の距離があります。

 これだけを聞くと、寂れた印象を持たれるかもしれませんが、府道16号線の脇にある抜け道として便利なようで、さらに近所にスーパーマーケットもあることから、つねに一定の人通りのある商店街なんです(それでも、長年住まわれている方に聞くと、以前に比べると活気がなくなったそうですが)。

 ですので、開院前に治療院の前を掃除していると、毎朝同じタイミングで通りかかる方と顔見知りになることがよくあります。

 今回ご紹介するA様もそういった形で顔見知りになったおひとりでした。

 ご高齢の女性で、急に膝が痛くなったそうで、すでに整形外科は受診されており、変形性膝関節症の診断が出ているとのことです。

 立ち話をしていると、たしかに右膝をちょっと外に逃がして立たれているのが見て取れます。

「急に痛くなった」という言葉にはひっかかりましたが、変形性膝関節症の診断が出ていて、膝を外に逃がして立っていらっしゃるので、大腿筋膜張筋か腸腰筋かを緩めて、大腿の突っ張りを緩和すれば、改善するだろうというのが、第一印象でした。

 ですが、実際に触らせていただくと、大腿筋膜張筋も腸腰筋もゆるんでいます。大腿四頭筋も同様です。

 そして、膝には熱感があり、腫れあがっています。膝蓋骨も動きません。炎症を起こしているのは明らかです。

 問診のときに「はじめに膝の裏が痛くなった」ともおっしゃってました。しかし、膝窩部にはこれといった筋緊張がみとめられませんし、膝の前面のような腫れも熱感もありません。

 そこで、もしやと思い、右の腰部を触らせていただくと、腰方形筋の外側がガチガチに固くなっていました。

 さらに聞き取りをしてみますと、この2カ月ほどの間に、とある心配事があり、ストレスを感じていらっしゃるご様子でした。

 また、11月というのは、1年の中でも気温差の変化の激しさなどから身体に負担のかかりやすい時期でもあります。

 以上のことから、私の見立てとしましては、精神的・身体的なストレスから右腰部に筋緊張が出て、その影響から右膝の裏に神経痛が出て、神経痛をかばう意識が右膝への余分な緊張を生み、右膝前面に負担がかかった、というのがまず1点。

 それから、右腰方形筋外側の強い筋緊張によって骨盤が右上に引き上げられ、左右の下肢のバランスが崩れたことが右膝への負担を生んだというのがもう1点。

 この2点の要因が、2カ月ほどの期間をかけて右膝前面の炎症へと行きついてしまったのだと思います。

 対応としては、アイシングの指導と右腰方形筋外側への指圧を行い、あとは炎症部分以外の全身に指圧を行い、精神的・身体的なストレスの軽減に努めました。

 結果、2回の施術で膝の痛みは治まったとのことでした。

 それから1週間ほどして、右膝前面の痛みが再発したということで来院されましたが、炎症の度合は前回よりもずっと小さく、ご本人の痛みの感じ方も前回よりも少なくなっているとのことでした。

 前回同様の指導・施術を行ったところ、翌日にお会いした時には、痛みがなくなったと喜んでいらっしゃいました。

 身体のバランスが完全に整ったわけではなく、また痛みが出る可能性があるので、痛みが出たときにはご来院くださいとお伝えしました。

 日頃は慢性症状に対応することが多いのですが、今回のA様のような急性症状に対応することも時々あります。

 急性症状のなかでも、ぎっくり腰や寝違いで来院される方がほとんどです。

 急性症状の場合は、受傷部位に直接に指圧をするということはありません。

 受傷部位のまわりの筋肉を「ほどほどに」ほぐして、受傷部位の治癒を促すことになります(ほぐしすぎは良くありません)。

 施術後は、受傷部位まわりの筋肉が動きを取り戻しますので、痛みが軽減して動きやすくなります。

 ただ、受傷部位自体はまだ治っていないので、いずれまた、まわりの筋肉が緊張してきます。

 そうなると、痛みが強くなり、また動きにくくなってきます。ただ、痛みの度合は前回よりはマシになっています。

 まわりの筋肉が緊張してきたタイミングで、またその筋肉に施術を行い、緊張を緩和します。

 それを繰り返していくと、痛みが徐々に治まっていきます。

 受傷の度合にもよりますが、まわりの筋肉が緊張して痛みが再び強くなるまでの期間は数10分後のこともあれば1日かかることもあります。

 A様のように1週間も経ったあとに再発される場合は、受傷部位が一旦完治してから、もう一度何かの拍子にまた傷めたと考える方が自然だと思います。

 こういった時は、根本的な身体バランスの改善(A様の場合は右腰方形筋の外側の筋緊張を緩和すること)がなされないと、何度でも傷めてしまう可能性があります。

 A様の場合、まだ完全に身体のバランスが取れていないのですが、心配事はクリアされたとお聞きしましたし、季節の変わり目も過ぎて、寒さにも順応されつつあるように思うので、精神的・身体的なストレスが当初よりも軽減されていると思われます。

 ですので、右腰方形筋の筋緊張も緩和して、お身体のバランスも自然と元の状態へと戻っていくのではないかと予測しております。

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