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武術よさらば!?

 先日、大阪府立江之子島文化芸術創造センターで行われました日野晃(ひのあきら)先生によるワークショップに参加してきました。

 日野先生は有名な武術研究家で、独自に作り出された『日野理論』によって、武術の世界を超えて、ダンサーや医療従事者への指導へと展開されています。

 ここ10数年では、活躍の場をヨーロッパにまで広げ、年に4回は渡欧されてワークショップを開いていらっしゃいます。

 私が日野先生の存在を知ったのは、2004年に発刊された『達人主義』というムック本でのことで、当時は甲野善紀(こうのよしのり)先生のご活躍から始まった古武術ブームの真っただ中で、大量に発刊されていた古武術関連の書籍のひとつとして手に取ったのでした。

 私自身は、格闘技や武術の経験はほぼゼロでしたが、当時の古武術ブームはそういった未経験者にこそ熱烈に支持されていたように記憶しております。私もいわゆる「古武術オタク」のひとりだったわけです。

 その当時から、日野先生や甲野先生によるセミナーやワークショップが開催されていることは知っておりましたが、興味は持ってはいるものの、なかなか参加をするところまでは踏み切れないでおりました。

 その理由を当時を振り返って自己分析をしてみますに、「古武術オタク」としての矜持と言いますか、自分は大量の書籍からリアルな何かを掴み取るんだという、奇妙な情熱を燃やしていたからだと思っています。

 実際に先生方にお会いして十の事を学ぶよりも、一冊の本から一の事を学び、百冊の本から百の事を学ぶというスタイルを良しとしたわけですが、実際のところは「百聞は一見に如かず」という故事に対する天邪鬼な反抗心から出てきたもののような気もします。

 結果として、ひとりの先生に師事したり、師事しないまでも少数の先生の考え方に傾倒したりすることがなかったことは、私にとって良かったのだと考えています。

 浅く広く物事をとらえたいという、私の性格にもそうですし、指圧師という(以前にも書きましたが)定義のあいまいな職業、生き方にも合っていたと思っています。

 それに何よりも、四象調息法を作り上げるのに必要だった、様々な呼吸タイプを分類するという俯瞰的な考え方を持つことができたのは、大きな収穫だったと思います。

 10数年ものあいだ、そうやってワークショップへの参加を避けてきたわけですが、それが今となって何故ひるがえったのでしょうか。

 それは、「何となく」というのが実際のところなんですが、後付けで考えてみますと、四象調息法の理論的な強度をある程度確かめたいという思いと、武術との決別・・・というと明らかに語弊がありますが、古武術的な身体の使い方に対する個人的な取り組みについて、自分の中でひとつの区切りとしたいと思ったからです。

 何故、甲野先生や別の先生ではなく、日野先生のワークショップを選択したのか、については、これも実際のところは「何となく」なんですが、これも後付けしていきますと、まず甲野先生はおそらく少陰タイプで、私と同じ呼吸タイプなんです。

 それに対して日野先生は、おそらく少陽タイプです。少陽タイプは、私にとって一番理解しにくいタイプなんです。まだ太陰タイプや太陽タイプは理解しやすい方なんです。

 一番理解しにくいタイプだからこそ、会いたいし、理解したいし、そこからいろいろと学びたいというのが、日野先生を選んだ理由です。(つづく)

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