山根式セルフ腰痛ケア(5)
私の整体観(あえてそう言いますが、本来はボディワーク観としたいところです)では、骨盤よりも胸郭を重視します。
私の施術のなかでも、骨盤を前傾させたり、逆に後傾させたりしますので、骨盤に全く関心がないわけではないのですが、それはあくまでも腰椎の動きによって傾いているという認識でして、骨盤単独の部分に対する関心はあまりなくて、その他の部位との関係を重視しているということです。
胸郭を構成している骨は、24本の肋骨と12個の椎骨、それに胸骨があります。さらには、胸骨と肋骨の間には肋軟骨があり、椎骨と肋骨の間にも関節があります。ですので、胸郭は一般的に思われているよりも、ずっと可動性に富んでいます。これは骨盤の可動性の場合とは異なり、医学的に認められているところです。
「四象調息法(以下、呼吸法)」に込められている私の整体観は、ここではそのすべてを記すことが出来ませんので、エッセンスを述べるに留めますが、「胸郭の柔軟性を高め、腹横筋を活性化させ、頭部や骨盤を含めた体幹部全体の調和を取ることで、肩こりや腰痛などの慢性症状を改善する」というものです。
私の考え方のなかでは、胸郭や腹横筋がメインで、頭部や骨盤は、もちろん重要な部分ではありますが、前の二つに比べるとサブの部分にあたります。
呼吸法は各タイプそれぞれに対して、違うやり方を提示するのですが、「山根式セルフ腰痛ケア(以下、腰痛ケア)」においては、どのタイプのクライアントでも同じやり方を提示するというその理由が、先に書いた私の整体観に起因するのだと思います。
起因と書きましたが、実際にはずっと感覚的な話になりそうで、胸郭のように各タイプを分ける際にメインの基準となる「明らかな部分」というのは、各タイプの動きに特化していくべきであり、他のタイプの動きに対しては排他的になるべきで、骨盤のようにサブの働きをする「陰なる部分」というのは、メインの動きに対して補助をするような役割を果たすべきであり、一つの方向に特化していくよりも、総合的にバランスをとることの方が重要なのではないか、ということから腰痛ケアの方法は、どのタイプの方にも同じ方法を提示するという・・・やはり感覚ですね。
ここまで書いて、自分でも妙なこじつけ感を感じなくもないです。骨盤がサブなのであれば、「骨盤まわりの筋肉をニュートラルな状態にする」のが目的である腰痛ケア自体、もはや重視すべき手法でも何でもないのではないか、という気もしてきました。
その予感は昨日あたりからやってきていまして、ブログにも書いたかとは思うのですが、私の整体観のなかにおける骨盤の位置が、サブの部分であり陰なる部分であるように、私の技術体系において、腰痛ケアはドアの蝶番のような、折り紙の折り目のような位置にあるのかもしれません。
約1週間にわたって、ワアワア言ってきましたが、結局のところ初期の「これは相当なものだぞ」という気分の盛り上がりは、単なる気の迷いだったというオチになるのでしょうか。
そうは言っても、陰なる部分、折り紙の折り目のような位置にあるものであっても、新たな技術が付け加えられたのであれば、まったくの無意味、徒労ではなかったという自分に対する慰めは許される程度のものにはなったと思います。
いや、それでも、もう少しはっきりとした成果も得られたかもしれません。それは、呼吸法を人に説明するときに、それを整体の一種と呼ぶべきか、ボディワークの一種と呼ぶべきかという問題が顕在化したと同時に、その答えが得られたということです。
整体と呼んだ時に人が抱くイメージからは、この呼吸法は離れたところに位置しているように思います。ボディワークの一種と呼んだ方がしっくりときます。そして、整体とボディワークの違いが私のなかではっきりとしてきたように思います。(まだつづく?)